やわたはま国際MTBレース2016(八幡浜市民スポーツパーク・愛媛県)
5月15日(日)
その眼の先には優勝しか見えない、このレースでリオ・オリンピック代表を決める。
山本選手の気迫の走りと気持ちの強さを感じた。
ワールドカップ転戦の忙しいスケジュール中、リオ・オリンピック代表を確実なものにすべく、4年ぶりに八幡浜の大会に戻ってきた山本選手が、どのようなレース展開を見せるのか。ファン、関係者も注目する大会でもある。そこには、レースを楽しめない、プレッシャーやストレスもある。2008年北京、2012年ロンドンの日本代表として、オリンピックに出場し、今年開催されるリオ・オリンピックに3度目の代表として出場することを、自分自身のマストな条件にした山本選手の姿があった。昨年、移籍したTrek Factory Racing(トレックファクトリーレーシング)のサポート体制は万全でもある。レース前、入念にバイクは調整されていた。そして、これまで一緒に戦ってきたスタッフ全員の想いがひとつとなり、山本選手はスタートラインに立った。その視線の先には、トップで走る自分の姿、1番でゴールする姿が見えているように感じた。
初めて見たMTBレースは、想像以上にハードなもの。山本選手が出場するレースは、一周4.3kmのオフロードコースを7周する。オフロードコースと言えば簡単に聞こえてしまうが、道幅も狭く、歩いて登るのも大変な急斜面である。コースは、木の根っこなどもあり、ここを自転車で走るのか?走れるのか?という感じである。今大会は国際大会として開催されており、当然、コースも国際基準となる難易度の高いセッティングとなっている。最高標高290m、最低標高180mの標高差110m。フラットなエリアはスタートフィニッシュエリアのみといった感じで、ほぼ登り下りが続く。そんなコースを、トップ選手は14分から15分で走る。そのすごさは、実際にコースを見ないと想像がつかないかもしれない。
レースは、13:30にスタート。出場選手は、国際自転車競技連合(UCI)の認定を受けたエリートクラストップライダーの68名。約30kmの激しいレースが始まった。序盤、山本選手は2名の選手でトップ争いを繰り広げる。ラップタイムは13秒台。この驚異的なラップタイムに、トップ争いをしていた選手が脱落。その後も、山本選手は、13秒台のラップタイムをキープし続け、6週目では2位の選手に30秒の差を付けた。そして、結果、2位の選手に41秒71の大差でゴールし、優勝を勝ち取った。結果だけを見れば、2位に大差で勝った当然の優勝となるが、余裕なレースではなかったはずだ。代表獲得へのストレスやプレッシャー、ワールドカップ転戦の疲れなど、まさに自分自身との闘いだったように思う。その集中力は、もしかしたら、他の選手は目に入っていなかったのかもしれない。13秒台のラップタイムで走り続けたその先に見えていたものは、山本選手にしか見えないもうひとりの選手、リオ・オリンピックで走っている姿があったのかもしれない。我々には想像できない、孤独な戦いをしていたと感じたレースだった。そして、それは、トップアスリートだけ知る“ゾーン”に入っていた時間だったのかもしれない。
山本選手、優勝おめでとうございます!
優勝の余韻に浸ることなく、山本選手はワールドカップ第2戦出場の為、ドイツに向かいました。
今後の予定レース
5月22日 ワールドカップ第2戦 ドイツ
5月29日 ワールドカップ第3戦 フランス
7月 3日 世界選手権 チェコ
7月10日 ワールドカップ第4戦 スイス
7月17日 全日本選手権 長野県
8月 7日 ワールドカップ第5戦 カナダ
8月21日 リオ五輪 ブラジル
9月 4日 ワールドカップ第6戦 アンドラ
やわたはま国際MTBレース2016 Facebook https://www.facebook.com/city.yawatahama.MTB
山本幸平選手 Facebook https://www.facebook.com/yamamotobrothers/
レポート:青木裕二(clutch-works)